コロナ検査に至った経緯
新たな関門「入境健康聲明卡」
あの、14日以内に韓国に行ったんですが・・・
えっ?!自宅検疫の話は?
あまりのあっさりさに面食らいつつも、係員が「ほれ前に進め」と追い立てるので次のステップへ。
緊張のサーモグラフィー
機内にいるときから胃腸炎の症状があり、少なくとも平熱ではないと自覚はありました。サーモグラフィーチェックで引っかかるのではと緊張。
しかしスルーされます。
なるほど。まだ呼び止めるほどの熱はないんだな。
イミグレで自首
14日以内に韓国行ったんですけど、検査とか必要無いんですか?
熱を測る
先ほどスルーされたサーモグラフィーに逆戻り。
何枚かの書類に個人情報(二週間こもる住所と電話番号など)を記入。
特に目立った症状も無く「咳が出ていないから問題ないだろう」と自宅検疫に落ち着きそうになりました。
しかしサーモグラフィーをチェックする係員が「その子、さっき発熱反応が出てたから熱測ったほうがいいよ」と。
さっき通ったときなんで声かけなかったーん
とツッコミたくなるのを抑えて体温測定。なんと38.1℃もありました。
この熱ではさすがに見逃せないということでコロナ検査を受けざるを得なくなりました。
見逃される肉製品
係員二人に連れられコロナ検査へ。途中で預け入れ荷物をピックアップ。
ここで私には一つの使命がありました。
コロナが流行る前は豚コレラ阻止のために肉製品持ち込みの取り締まりに力を入れていた台湾。日本と韓国で買ったインスタント麺が持ち込めるのかを動植物検疫所で聞かなければならなかったのです。
特に韓国のは何が書いてあるのかさっぱりだったので確認しておきたい。
そこで係員に相談してみたところ「肉入ってる?入ってないなら問題無いよ」と。
「そりゃそうだけど、判断できない」と返すも、黙ってまっすぐと私を見つめる係員。
(あのなぁ、このご時世で最重要事項はコロナの拡大を防ぐことなんだわ。お前熱まで出てんだからさっさと検査行けよ。おとなしく「肉は入ってない」って言っとけや。)という同調圧力に屈した私。
「たぶん入っているとは言えないかもしれない・・・」
丸く収まりました。
この件についてTwitterで台湾の方からご指摘をいただきましたので載せておきます。
正直コロナ騒ぎで豚コレラのことはすっかり忘れてインスタントラーメンを購入しました。台湾では(日本もそうですが)持ち込む前に検疫カウンターにチェックしてもらえる流れになっています。持ち込みNGならその場で破棄してもらえます。品はとっくの昔からないです✌️ https://t.co/ITzpuaTysP
— ジャムサンド (@jamjamsand) March 13, 2020
コロナ検査小屋へ
検査が行われている小屋は空港すぐ外の人通りが少ない場所に設置されています。
私の前にはおじいちゃんが一人待機していました。おじいちゃんの経緯はわかりませんが、検査を終えると「高鐵で帰る」と言っていました。※
結果出るまで公共交通機関乗ったら駄目じゃね!?!?
と思いましたが、看護師さんに「高鐵はあっちね」と案内されていました。いいんですね!?!?※
そして私の番。
長い綿棒で喉をちょちょいとつつかれて終了。小屋に入ってから出るまでものの1分くらいでした。検査費用もかかりませんでした。
と告げられ解放。夫が迎えに来てくれていたので車で帰りました。
※3/11より自宅検疫対象者は公共交通機関利用を利用しての帰宅は不可になります。自家用車または専用タクシーでの帰宅が義務付けられます。
Twitterで質問をいただきましたのでここにも回答を載せておきます。
空港での検査は今の所何も請求されていませんし、費用についても何も言われませんでした🤔めちゃくちゃ長い記事になってしまったのでゆっくりお読みくだされば🙇♀️
— ジャムサンド (@jamjamsand) March 13, 2020
もしかすると病院で550元かかったというのは検査費用ではなく診察代かもしれません。この辺は私も不確かです。
様々な管轄から毎日連絡が来る
自宅検疫が始まると様々な管轄から電話がかかってきます。
どこから何本かかってくるかは空港で聞きましたが、不明とのことでした。
とにかくかかってきた電話全部に出よう
電話は逃さないように
初日の怒涛の電話が終わると、二日目からは区の衛生所(または区役所)、警察、里幹事から毎日電話があります。※
内容はどれも「今天身體狀況良好嗎?(身体の調子はどうですか)」です。
携帯への電話に出そびれると家電にかかってきて「今家から出ているのでは?」と聞かれます。
家電に出てるんだから家にいるに決まってるんですけどね。
変な心配をかけないように電話には絶対出よう
※台湾人は基本的に里幹事だけだとか。それも検疫場所の管轄によるらしいです。また、検疫者が増加したためか4月頃からは初日に電話が来るだけで、その後は電話なしみたいです。
健康状態を送信する
電話の他に「民眾主動E回報」システム上で毎日健康状態を入力します。
さらに中央流行疫情指揮中心からもSMSが届きます。これは10分以内に返信しないと鬼のように同じ文面が送られてきます。
お腹を下し気味だったので「有症狀」と返信しましたが、特に何も起こりませんでした。
連絡が来るわけでもなく、次の日電話で何か言われるわけでもなく。
そして電話で「お腹痛い」と伝えたら「沒關係,觀察一下」と言われました。えっ。
マスクが支給される
里幹事(おじいちゃん)がわざわざ家まで来てマスクを支給してくださいました。
検疫中は自宅でもマスクを着用するようにとのこと。
こうしてマスクが絶対に必要な人(防疫関係者、隔離/検疫対象者など)に行き渡る仕組みになっていたんですね。
自分で用意していた分+7枚もあれば一日一枚使うには十分です。
マスク不足のこの時期に一日一枚使えるのは大変ありがたいこと
夫が6日目のマスク(ドライヤーで消毒)で私(2日目)にマウント取ってくる
— ジャムサンド (@jamjamsand) February 22, 2020
おじいちゃん里幹事「毎日電話かけるから出ろよ」と電話番号まで書いて念押ししてくれたのに、一度も電話くれなかったなぁ。
予想外に早くコロナ検査結果が出る
そうこうしているうちに、疾病管制署(CDC)からコロナ検査の結果通知が送られてきました。(通知は郵送かメールか選択可)
当初は一週間かかると言われていたのが2日もかからずに届きました。
素晴らしいスピード
陰性でよかった・・・けど21日間は要注意とのこと!
無事に終わらなかった検疫
検疫が無事に終わらないんじゃないかと薄々は感じていました。そして期待を裏切らずにやらかしてくれました。だいたいこちらの公務員と関わるとスムーズにいかないんだよね・・・
警察と闘うハメになる
毎日電話をかけてくれる警察のお姉さんから「今日で最後ですよ」と告げられ、待ちに待った検疫解除日。
意気揚々と外出!
しかしです。スマホにこんなSMSが送られてきました。
要するに「お前は検疫中だろ。外出るな。罰金だぞ。」です。
と言われましても・・・それより※GPSつけられてたの今知ったんだが・・・怖・・・
※GPSではなく携帯の電波などから位置情報を把握しているそうです。
オロオロしていると警察(おじさん)から電話が。
検疫中なんだから出るな。直ちに帰宅せよ!
もう終了したと確認済です。検疫期間は2/26〜3/12ですけど、3/12は「解除日」だから・・・
お前の認識はどうでもいいんだ、3/12までなら出るな!
里幹事が12日は解除日だk
だからお前の認識はどうでm
不!是!啦!你!先!聽!我!說!!!ドルァ(ちげえわ話聞けコラ)
私は台湾の規則にきちんと従ってきましたし、問題があるなら時間を割いてでも解決するつもりでした。ですが、あまりにも一方的で上からの態度に我慢ならず、声を荒げてしまいました。
すると警察は驚いたのか急に丁寧になりました。よかった。
その後も多方面から鬼電。(たらい回しにつぐたらい回しだったのですが割愛します)
結局、警察のお姉さんが処理してくれることになりました。
この件についてもTwitterに質問、コメントいただきましたので載せておきます。
台北市衛生局に勤めている義母の部署は自宅隔離に指定されている人が住む里の里長に連絡などの指示をしているけれど、警察は管轄外で隔離違反などで出動をお願いしても動いてくれないと言っていたので、それぞれ全く違う指揮系統なのだと思われます😓
— リンナイ@台北在住 (@ah9287) March 14, 2020
検疫期間の認識が部署によって違う?
空港で渡された書類は以下のようになっていました。数えてみると16日間もあります。
里幹事と警察のお姉さん(毎日電話をくれていた方)によると「解除日」の3/12から外出していいとのことでした。
どうやら人によっては解除日の翌日から外出可という認識のようで(そんな勘違いはあってはならないのだけど)巻き込まれてしまったというわけです。システムエラーだとも言っていました。
コロナ対策を仕切っている指揮中心からも「今日から外出していいですよ」と電話をいただいたので「解除日」から外出できるという認識で正しいと思います。
ただ、また基準が変わるかもしれないので、もし検疫になった場合は外出できる日を入念に確認することをおすすめします。
台湾のコロナ対策にちょっとどうなの?と思ったこと
自己申告しなければどうなっていたのか
自己申告しなければ、コロナ検査どころか自宅検疫にもなっていなかったんじゃないかと思います。
とはいえ何かあってから検疫では遅いです。台湾社会に大迷惑がかかるのでしっかり自己申告しましょう。
Twitterで台湾の方からご指摘をいただきましたのでお答えします。
そもそも画像に書いている通り2/25より韓国から入国する方が自主検疫対象となりますので、大阪経由で台湾へ入国されることなので空港で自主検疫にならなかったという認識はおかしくないですが。もちろん韓国に出国したのが2/25以降のであれば、14日以内ではなく、そこをちゃんと伝えるべきです。
— Akane.K (@sukiraixxx) March 13, 2020
さすがに「14日以内」とだけ伝えて通されるほどガバガバではありません。この記事では詳しい会話内容は割愛し「14日以内」としましたが、その都度正確な日時を伝えています。
システムエラーを直してほしい
オンラインシステムがあるのは素晴らしいと思っています。ですが、エラーのせいで迷惑を被る(疑われて責められる)のはいただけない。
これは健康状態報告を促すメールです。
報告が義務付けられているのは「2/28〜3/9」のはずなのに10、11、12(検疫解日)、13日とずっと送られてきます。いつまでくるんだろう・・・。
この辺はどうにか改善してほしいです。でないと本当に検疫が終わったのか不安になります。
それと、先述したように警察に声を荒げる結果になったのもシステムエラーのせいでもあります。
警察は検疫対象者が言うことよりシステムを信じるでしょう。細かいことを言うと、検疫終了後も追跡されていたのはプライバシーの侵害です・・・
また、システムエラーで次回出国拒否される可能性があると言われました。空港でゴタゴタするのも嫌なので早期に改善してくれることを願います。
渡航歴の認識が人によって違う
韓国→大阪→台湾の日本人なのに
- 韓国からの韓国人
- 大阪からの日本人(それなら検疫期間が変わる)
- どこから帰ってきたかわからない台湾人(管轄が変わる)
伝言ゲームみたいになってる
連絡がくどい
毎朝電話×3とメール×2に応えなければなりません。(追記:電話連絡は減ったようです。)
内容は全て体調を確認するものです。しかし体調が悪いと返事しても何も起こりません。
そんなに多方面から連絡してこなくても電話1、メール1くらいでいいのでは・・・?
電話担当の方などの負担を減らすためにも、もう少し効率化を図ったほうがいいかなと。
それと、健康体ならいいのですが、具合の悪い時にいつくるかわからない電話に備えるのはきつかったです。
電話に出ないと関係者が家まで来てしまうらしい
1922は万能ではない
台湾では感染症関係(コロナに限らず)で何か問題がある場合は1922に電話するということになっています。
空港でも「検疫期間中に何かあったら1922に」と言われました。台湾人の間でも心配事はとりあえず1922に電話すればなんとかしてくれるという認識になっているように思います。
検疫期間の確認などで二回電話したのですが、二回とも「わからないので区役所に聞いてください」でした。
こうなると1922を一旦挟む意味がよくわかりません。
区役所も「知らん」言うからたらい回し・・・
街中での体温チェックがあてにならない
特別な体温計なの?
一番怖かったのは日本人への目
コロナ感染の疑いがかかった時に一番心配だったのは自分のせいで日本人がバッシングを受けるかもしれないということでした。
それがあまりにも心配で「台湾で感染者として発表されるくらいなら死んだほうがマシ」とまで思いました。
私が感じる台湾での日本人への反応
というのも二月中旬頃から日本のコロナ対策への不信感を日本人個人にぶつけてくることに参っていたのです。
Twitterでも海外に渡航歴のない在台邦人が冷遇されているという話を度々目にしていました。
私自身もごはん屋さんで夫と日本語で話していると、隣席のおばさんが露骨にこちらを見ながら「隣が日本人だから席を替えよう」と言っていたり。
たいして知らんおばさんからこんなことを言われたり。
何年も前から義母経由で日本での買物頼んでくる義母友に今日初めて会ったのだけど「ハロー!日本には失望したわ🙄」と。今の状況で失望するのは仕方無しとしても、それが今まで顔も知らずに協力してくれてた人への一言目…?😇
— 河井 おジャム (@jamjamsand) February 20, 2020
空港から帰ってきて駐車場からスーツケースを運んでいると、嫌な顔で睨んでくるおばちゃんもいました。
この時は検査結果待ちだったのでかなり堪えました。
そういうことがあったので、外ではなるべく日本語を使わないようにしています。お互いのためです。
台湾の方が日本に不安を抱くのは理解できます。でも嫌悪感があっても態度に出さないことだってできるのに、わざわざ相手に示してしまうところ、政府への不信感を個人の関係に持ち込んでくることをとても残念に思います。
検査結果は陰性。それでも怖い周りからの目。
陰性とお墨付きをもらってからは不安な気持ちは和らぎましたが、周りの目が怖いのは同じでした。
私が発熱したの原因は胃腸炎で、毎日お腹がぴーぴーでした。それでも病院に行く気になれませんでした。
なぜなら自宅検疫中は特別な手配をして迎えに来てもらってでないと病院へ行けないのです。そうなると近所に検疫中だとバレるのが怖い・・・。
近所に知れたら必要以上に騒ぎ立てそうだから・・・
現場で働く方達を見習ってほしい
空港で対応してくださった職員の方々は想像以上に冷静でした。
熱があるとわかった時も衛生部のお姉さん達は嫌な顔ひとつせず私を検査場所まで送り届けてくれました。
特に感銘を受けたのはコロナ検査の看護師さん。誰よりも礼儀正しく対応してくださいました。感染者として台湾社会に大迷惑をかけるかもしれないと自分を犯罪者のように感じていた私は正気を取り戻すことができました。
また、毎日電話をかけてくれた衛生所と警察のお姉さんも非常に穏やかな口調で、無駄に不安がることのないようにしてくれている感じがしました。
防疫関係者の方々に触れてなおさら、街の方々にはもう少し感情を抑えた対応をしてくれたらなと思いました。
最後に
台湾政府の防疫はしっかり成果を出しています。
今回の件で世界から注目され、台湾の友人は「台湾人として生きてきて初めて台湾を誇りに思った」と話してくれました。SARSの惨劇を二度と繰り返さないようにと取り組む政府の姿勢はとても頼もしいと私も思います。
ですが、重複したタスクを多部署に振り分けていたり、部署間の連携が弱く情報が錯綜しているように感じました。(私が事情を知らないだけで、それぞれに意味があるのかもしれませんが)
現在は全ての国が第三級(自宅検疫)に指定され、検疫対象者もグッと増えました。防疫のために働いている方達の負担軽減のためにも情報を一箇所にまとめる仕組みができるともっといいかなと思いました。
そしてこれを機に有事の際だけではなく普段からの衛生意識も高まってくれればなと思います。
検疫になったら覚えておいたほうがいいこと
長くなりましたので、まとめます。今後もしも自宅検疫になった場合に覚えておいたほうがいいと思われることです。
- 多方から電話がかかってくるが、確認事項は主に検疫住所、電話番号、体調
中国語(英語もあるのかな?)での電話は不安かと思いますが、このポイントさえおさえていればなんとかなると思います。 - 食料調達などが困難な場合は助けを要請できるかも
私にはまったくそういう連絡はなかったのですが、ニュースや他の方の様子を見ると食料について気にかけてもらえているようです。お願いすれば持ってきてもらえるのかもしれません。 - 「検疫解除日」から外出できる
一応里長(または里幹事)に確認をとっておきましょう。 - 検疫終了後にも連絡を受けることがある
解除日当日も連絡が来るので電話は要チェックです。
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